白いヘルメット②

白いヘルメット②

神奈川県 会社員 田原 リナ(21)(仮名)

3年前の夏のことです。

同棲していた彼は「ケンジ」と言う名前で、私とは中学校からの同級生でした。

中学卒業後、私は女子校、ケンジは男子校に進学したのですが、高1の夏頃に偶然再会したことから交際が始まり、高校を卒業して就職したのをきっかけに、県内のアパートで同棲することになりました。

そのアパートは、ケンジの友達のたまり場にもなっていて、特に、バイク好きのカズマ君とケイタロウ君は、毎週このアパートを起点にして、一緒にツーリングに出かけるのが習慣でした。

私は免許を持っていなかったので、いつも白いヘルメットを被って、彼のバイクの後ろに乗って、4人で一緒にでかけていました。

その白いヘルメットは、私の誕生日に、彼が初めてもらったボーナスでプレゼントしてくれたもので、私の宝物でした。

とある土曜日の昼頃、カズマ君とケイタロウ君が、いつものように私達のアパートに集まり、今日の行き先について相談していました。

その結果、その日の行き先は、2時間ほど走った場所にある海まで行こうという事に決まり、4人でアパートを出ました。

バイクを停めてあるアパート脇の駐輪場まで行ったところで、私は急に気分が悪くなり、一人でアパートに戻りました。

部屋に入るとますます気分が悪くなり、とてもツーリングに行ける感じではありません。

あまりみんなを待たせてもいけないと思い、私は外で待つケンジにLINEで、

「ごめん。やっぱり何か気分悪い。悪いけど、ケンジたちだけで行ってきて・・・」

とメッセージを送り、ベッドに横になりました。

正直、ケンジたちが心配して、戻って来てくれるかもと期待していましたが、バイクが走り去る音を聞いて、私は少しガッカリしました。

その後、しばらくしてウトウトと眠り始めた頃です。

私は突然、生まれて初めての”金縛り”を経験しました。

息苦しさと恐怖の中、何とか自由になろうともがいている時、ベッドの脇の足下に、誰かが立っている気配がしました。

辛うじて自分の意思で動かせる目だけをそちらに向けると、私が中学生の時に着ていたのと同じ制服を着ている女の子が立っていました。

するとその子は、ベッドの上に横たわる私の顔に、薄ら笑いを浮かべながら、ゆっくりと自分の顔を近付けて来ました。

私の顔に彼女の髪が触れたところで、私は恐怖のあまり、そのまま気を失ってしまいました。

すると、その女の子は、私の夢の中にも出て来ました。

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