短編– category –
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短編
山小屋の怪
東京都 会社員 河本将暉(46) それは3年前の秋、趣味の山登りでS県とG県の県境にある山を登っていたときの出来事です。 紅葉の季節も過ぎ、本格的な冬を迎えるこの時期は、他の登山者も少なく、山を独り占めできるので、一人登山が好きな私には絶好のシーズンです。 何日も前から天気予報を頻繁に確認し、ちょっとした予報の変化にも留意... -
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ポスト
千葉県 八巻 健一(64) 当時の私は、定年退職後の有り余る時間を、どう過すかに腐心していました。 約40年間、がむしゃらに働いてきた私には、これといって趣味もなく、かといって何か新しい趣味を持とうという気にもなれず、退屈な時間だけがただゆるゆると過ぎて行く、そんな毎日でした。 このままいつまでも無駄な時間を過ごしているわ... -
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何が満開?
静岡県 主婦 遠藤美里(31) 2歳になったばかりの娘は、覚束ない足取りながらも少し走れるようになり、外遊びが楽しくて仕方がない年頃でした。 それに最近では語彙も多くなり、私の言葉やテレビで見聞きしたセリフを真似するようになりました。 いわゆるかわいい盛りの娘と、そんな小さな幸せを噛み締めながらの生活を送っていたある日の... -
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ショウジ君
東京都 高校生 清水 誠(17)(仮名) 僕が小学生だった時の話です。 両親と僕の家族3人は、毎年、祖父母の住む岡山の田舎に帰省するのが恒例行事でした。 確か小学3年生の夏休みのことでした。 父の夏休みに合わせて、その年も家族3人で、1週間ほど祖父母の家に遊びに行くことになりました。 祖父母の家は岡山の山奥にあり、近くにき... -
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私だけ
愛知県 会社員 清水 雅美(22)(仮名) 私が高校生だった時の話です。 一学期も終わりに近付いた頃、同級生で仲の良い男の子が車の免許を取ったので、夏休みになったらみんなでドライブに行こうと言う事になりました。 参加者はいつものメンバーで、その男の子と私の他、男子が2人と女子1人の合計5人です。 行き先は、以前から噂されて... -
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元カノの願い
群馬県 会社員 大沢 敏史(29)(仮名) つい先日経験した、ちょっと切ない話です。 高校生の頃から付き合っていた彼女と別れたのは、交際8年目の事でした。 きっかけは些細なことだったと思うのですが、ちょっとしたケンカが引き金となり、長かった交際が終わりを迎えたのです。 私も彼女も、仲間内から心配され、よりを戻すように勧めら... -
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砂遊び
群馬県 会社員 斉藤 利明(23)(仮名) それは私が小学校に上がる前ですから、多分5歳くらいの時の体験談です。 その日は朝からとても暑かったのを覚えています。 家の中で遊ぶ事に飽きた私は、母にねだって、近所の公園に連れて行ってもらいました。 平日の午前中なら、その公園に行けば1人や2人は、いつも一緒に遊ぶ友達がいるはずです... -
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猫屋敷
※この怪談には一部刺激的な表現が使用されています。閲覧の際はご注意ください。 埼玉県 会社員 小野 昭仁(31)(仮名) 結婚して3年ほど経った頃、中古の一軒家を買った。 「不動産に掘り出し物無し」と聞いた事があるが、この物件は破格だ。 そのため、いわゆる事故物件なのではないかと疑い、ネットで調べたのだが、そういった情報はな... -
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くにゃくにゃの女の子
静岡県 フリーター 宇梶 佑美(21)(仮名) その日の夕方、私はいつものように、バイト終わりに家の近所の公園のベンチでくつろいでいました。 天気が良く、暑くも寒くもなく快適なこの時期に、夕方から暗くなるまで、スマホで漫画を読みながらゆっくり過ごすのが、私にとって至福のルーティンでした。 まだ明るい時間帯に子供たちがはし... -
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人の執念
千葉県 会社員 中本 修司(28)(仮名) 私が高校生だった時の体験談です。 その日は部活が長引き、帰宅がいつもより遅く、辺りはすっかり暗くなっていました。 自宅マンション手前の踏切が開くのを、自転車に乗って待っていたのですが、なかなか遮断機が上がりません。 しばらくすると、線路内の敷石の上をザクザクと走りながら、何やら大...