お祝い(表)

お祝い(表)

埼玉県 会社員 横澤 美優(34)(仮名)

今から1年ちょっと前の話です。

私は会社の先輩と、職場結婚をすることになりました。

その時、お腹に赤ちゃんがいることが分かっていたので、大掛かりな挙式や披露宴は挙げないつもりでした。

安定期も過ぎて、つわりも少し落ち着いてきた頃、職場の同僚の発案で、私達の新居で、披露宴の代わりにちょっとしたホームパーティーでもやろうと言うことになりました。

「あら、新婚生活のお邪魔かしら?」

「やだ、そんなことないですよぉ」

そんなこんなで、それからしばらく経った頃、楽しみにしていたパーティー当日がやってきました。

その日は全部で10人ほどが集まる予定でした。

金曜の夜だったこともあり、定時で上がった人から少し残業で遅れた人までが三々五々集まり、楽しい時間を過ごしていました。

ただ、仲の良い同僚しか呼んでいないはずなのに、なぜか3ヶ月ほど前、何の前触れもなく急に退職したAさんが来ていたのが、ちょっと不思議でした。

しかも彼女は、左手に包帯をグルグル巻きにして、退職前は長かった髪をバッサリ切っていたので、みんなちょっと驚いていました。

なんだか痛々しいその姿に、

「Aさん、久しぶり〜」
「急に辞めちゃって、今何やってるの?」
「いやー、髪、ショートにしたんだね。かわいい。似合ってるぅ」
「ところでその手、どうした? 大丈夫?」

などと皆んなが口々に声をかけると

「自転車で転んじゃって・・・ あ、髪はケガしたら、長いとちょっと大変で・・・」

・・・なるほど。そりゃそうだ、と思いました。

ただ、実は皆んなが一番聞きたかったのは

「で? だれに誘われて来たの?」

ということだったのですが、それはあえて、だれも口には出しませんでした。

その後、Aさんはフラフラとリビングを徘徊しながら、時々ソファーに座ったり、棚の脇に寄りかかったり、キッチンに空いたお皿を持っていったりしながら、特に自分から積極的に話すこともなく、終始ニコニコと皆んなの話を聞いていました。

楽しかったパーティーもお開きになり、私と彼は片付けを済ませ、その日は就寝しました。

翌日は2人ともお休みだったので、朝から掃除や洗濯に追われていました。

お客さんが多かったせいか、私はソファーの座面が少しずれて、隙間が空いているのを見つけました。

ついでに掃除機をかけようと思い、クッションを外すと、ポロッと小さな白い布製の袋が出てきました。

「? これ、何だろう? 昨日の誰かの忘れ物かな?」

一見、お守りのようにも見えたので、中身を見ることに少し抵抗も感じましたが、誰のものか分からないので、袋の口を縛っていたヒモをほどき、中身をテーブルの上に出してみました。

パサッと乾いた音を立てて、小さな白い紙と、人差し指くらいの長さの、小動物のしっぽのような物が出てきました。

「なぁに? これ」

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