• 2019年10月2日
  • 2020年12月7日

黒狐の面

岡山県 農業 内藤裕美(36)(仮名) 私が農業を営む主人の元に嫁いだのは、今から8年前のことです。 主人は古くから続く農家の3代目で、私とは同じ小学校からの同級生でした。 結婚を機に、主人の両親と祖父母が暮らす母屋の隣に新居を構え、その後2人の子供にも恵まれ、仕事と子育てに忙殺されながらも、幸せな毎日を送っていました。 大きな母屋の裏手には、かなり古く大きな蔵があります。 蔵の中には古い農機具などが少し置かれているだけで、普段は誰も出入りすることはありませんでした。 ある日、不要になったストーブを蔵の中へ片付けに行った主人が、何か古い箱のような物を嬉し […]

  • 2019年9月28日
  • 2020年12月7日

ピアノの音

神奈川県 主婦 高橋弘子(59)(仮名) 一昨年の春のことです。 お隣のお宅に、3人家族が引っ越して来られました。 ご挨拶にいらっしゃったのは、とても感じの良いご主人と、清楚な奥さんと、4歳になるという、とても可愛らしい娘さんでした。 しばらくすると、お隣のお宅から、かすかにピアノの音が聞こえてくるようになりました。 お世辞にも上手とは言えないので、たぶん、娘さんが弾いているのでしょう。 それから決まって、平日の2時頃になると、ピアノの音が聞こえるようになりました。 きっと先生が来て、教えているのでしょう。 我が家の子供達はもうとっくに成人しましたが、小 […]

  • 2019年9月25日
  • 2020年12月7日

灰色の女の子

神奈川県 専門学校生 細野彩花(20)(仮名) 私には、高校生の頃から毎年同じメンバー3人で来ている、お気に入りのビーチがありました。 その日は夏休みシーズンで天気も良く、ビーチは大勢の人で賑わっていました。 昼頃に到着した私達は、海の家で借りたパラソルと持参したビーチマットを敷いて、まずはのんびり、日光浴を楽しむことにしました。 しばらく友人達と談笑していると、波打ち際に、ちょっと気になる女の子が歩いているのが目に留まりました。 一人ぼっちでトボトボと歩くその女の子は、濡れた髪も、顔色も、手足の色も、水着の色さえも灰色で、全く色がないのです。 華やかな […]

  • 2019年9月22日
  • 2020年12月7日

とても後悔した話

S県 会社員 上原高志(22)(仮名) 私は今、とても後悔しています。 県内で有名な心霊スポットと呼ばれる場所に、友人のヒロキ(仮名)と車で遊びに行ったのは、去年の夏のことでした。 現地に着いて、森の中の細い山道を歩くと、小さな祠や石碑があり、2人はその雰囲気を楽しんだ後、深夜2時過ぎに自宅へ戻りました。 その翌日から、体調を崩したり、事故に遭ったり、仕事でミスが続いたりと、2人とも良くない事が立て続けに起きました。 初めは2人で「心霊スポットで呪われたんじゃないか?」などと、冗談を言い合っていましたが、その後も偶然とは思えないほど、不運な出来事が続きま […]

  • 2019年9月21日
  • 2020年12月7日

受け継ぐもの

東京都 自営業 佐藤瑛太(47)(仮名) 私の家は、曽祖父の代から続く地主です。 そう言うと羽振りが良さそうに聞こえるかも知れませんが、社長である私の父はあまり商売が得意ではありませんでした。 父は新しく事業を始めるたびに借金を増やし、それを精算するために、都内にあった土地を少しずつ切り売りしてきました。 その結果、最終的に残ったのは自宅の敷地と、少し離れたところに120坪、台数にして15台分ほどのコインパーキングを営む土地だけになってしまいました。 それでも特に貧乏というわけではなく、その上私は一人っ子ですので、随分と甘やかされて育ってきましたから、む […]

  • 2019年9月20日
  • 2020年12月7日

離れない…

愛知県 会社員 富里やよい(23)(仮名) 社会人3年目の春。親元から離れ、念願だった一人暮らしを始めました。 一人暮らしは以前から憧れていたのですが、父の異常とも言える猛反対を喰らい、なかなか実現しませんでした。 ある日、近所の不動産屋さんで偶然見つけた物件に一目惚れした私は、父と再度交渉を重ねた結果、自宅から近いなら良いだろうということになり、やっと夢が叶ったのです。 部屋は4階建てマンションの3階の角部屋で、実家から300メートルほどしか離れていません。 さらに、4階にはオーナーさん家族が住んでいることが、頑固な父を説得する決め手になったようです。 […]

  • 2019年9月19日
  • 2020年12月7日

11番テーブル

某県 短大生 伊豆川由紀(19)(仮名) 私が高校生の時、バイトしていたレストランでの、不思議なお話です。 そのレストランには、誰にも座らせない、4人がけの席がありました。 入り口を入って一番右奥の11番テーブルです。 毎週水曜日の夕方3時頃になると、誰もいないはずの11番テーブルのコードレスチャイム(ピンポン)が鳴ります。 するとバイトも社員さんも、みんな当たり前のように、グラスに入れたお水を1杯持って行くのが、このレストランの「しきたり」になっていました。 もし、お水を持っていかないと、初めのうちは10分おきくらいの間隔でチャイムが鳴り、それでも放っ […]

  • 2019年9月15日
  • 2020年12月7日

床の記憶

富山県 建築士 河辺雅彦(53)(仮名) ある日、私の設計事務所に、若いご夫婦がお見えになりました。 お話を伺うと、ご主人のご両親から相続した土地に、新居を構えたいとのこと。 土地代がかからないとは言え、若いご夫婦でしたので、限られた予算内での設計は、私にとって腕の見せ所になる仕事でした。 依頼主のAさんご夫婦は、ノスタルジックな雰囲気のある家をご希望でしたので、「ノスタルジック+モダン」をコンセプトに、設計が始まりました。 「この予算だとあまり高い部材は使えないし・・・ かと言ってあまりケチると雰囲気も出ないし・・・」 そんな折、たまたま私の耳に入って […]

  • 2019年9月14日
  • 2020年12月7日

お祝い(裏)

*このお話は<お祝い(表)>を先にお読み頂くと、より一層お楽しみ頂けます。 埼玉県 会社員 横澤 翔(36)(仮名) 当時、私は職場の後輩女性Aさんと交際していました。 特に「社内恋愛禁止」ということもなかったのですが、私としてはそれを同僚に知られるのが嫌で、Aさんとも2人のことは社内的には内密に、ということにしていました。 ただ、逆にそれが良くなかったのか、私は別の後輩女性Bさんと浮気をしてしまい、その結果、彼女を妊娠させてしまったのです。 年齢的なこともあり、私はBさんに結婚を迫られていました。 こんな時、同じ会社の同僚と付き合ったり、ましてや浮気ま […]

  • 2019年9月14日
  • 2020年12月7日

お祝い(表)

埼玉県 会社員 横澤 美優(34)(仮名) 今から1年ちょっと前の話です。 私は会社の先輩と、職場結婚をすることになりました。 その時、お腹に赤ちゃんがいることが分かっていたので、大掛かりな挙式や披露宴は挙げないつもりでした。 安定期も過ぎて、つわりも少し落ち着いてきた頃、職場の同僚の発案で、私達の新居で、披露宴の代わりにちょっとしたホームパーティーでもやろうと言うことになりました。 「あら、新婚生活のお邪魔かしら?」 「やだ、そんなことないですよぉ」 そんなこんなで、それからしばらく経った頃、楽しみにしていたパーティー当日がやってきました。 その日は全 […]

  • 2019年9月13日
  • 2020年12月7日

兄の遺品

福岡県 会社員 遠藤慶次(33)(仮名) 私には7歳年の離れた兄がいました。 今から20年前のことです。 私が中学生だった頃、年の離れた兄は、すでに社会人になっていました。 兄はちょっとヤンチャで、自分で働いて買ったバイクや車を乗り回し、仲間内でもリーダー格で、その姿は私にとって、憧れの存在でもありました。 そんな兄がある日突然、自ら命を絶ってしまったのです。 母の話では、友人と遊びに行き、帰ってきてから急に人が変わってしまったそうで、それから2ヶ月もしないうちに、自分の部屋で首を吊った兄は、帰らぬ人となりました。 当時の私は、兄の死を上手く受け入れるこ […]

  • 2019年9月11日
  • 2020年12月7日

乗車拒否

千葉県 タクシー運転手 藤木幸仁(55)(仮名) 「運転手さん。何か怖い話とか、ないですか?」 時々、お客さんにこんなことを聞かれると、長距離のお客さんの時だけ、私がまだ若かった頃の、こんな体験談をお話しするんです。 私が勤務しているタクシー会社では、ある程度売り上げが多いドライバーだけの特典として、出勤時間などを個人の裁量に任せてくれるシステムがありました。 自分で言うのもアレなんですが、その頃、社内のトップドライバーとして、何度も表彰されたことがあった私は、相番(あいばん:同じ車をシェアする同僚のこと)もナシで、いつでも自由に出勤OKで、そのことは私 […]

  • 2019年9月7日
  • 2020年12月7日

ブツブツ・・・・

某県 監察医 藤原順子(36)(仮名) 監察医の仕事は、各自治体の知事によって任命され、行政解剖を行うことです。 「行政解剖」と言うのは、死因がはっきりしないものの、犯罪性のないご遺体の死因を解明する事を目的に行われます。 皆さんがよく耳にする「司法解剖」と言うのは、犯罪の可能性がある場合にのみ、死因を解明するために行う解剖ですので、「行政解剖」とは少し違います。 ちなみに前者は「監察医」が、後者は裁判所の委託を受けた「大学の法医学教室」が担当します。 監察医の主な仕事は、病院以外、例えばご自宅で亡くなった場合など、警察からの報告を受け、検視官による検視 […]

  • 2019年9月6日
  • 2020年12月7日

人形からのメッセージ 【後編】

【人形からのメッセージ 前編】からの続編です。 東京都 会社員 西槇由実(26)(仮名) あの体験から何日か経った頃、久しぶりに母から電話がありました。 他愛もない話に花を咲かせ、そろそろ電話を切ろうかと思った時、ふと気になっていた質問をしてみることにしました。 「ところでお母さん、どうしてあの人形、送ってくれたの?」 すると母は驚いた様子でこう言いました。 「どうしてって、あなたから急に夜中に電話がかかってきて、『どうしてもあの人形を送って欲しい』って言われたからじゃない。 あんな真夜中に電話してきて、しかも暗〜い声で急に変なこと言うもんだから・・・お […]

  • 2019年9月6日
  • 2020年12月7日

人形からのメッセージ 【前編】

東京都 会社員 西槇由実(26)(仮名) 就職を機に上京し、一人暮らしのマンションでの初めての冬が、まもなく終わりを告げようとしていた頃の体験です。 その頃の私は、厳しい社会の洗礼のおかげで、学生気分はとっくに消え失せ、初めて迎える年度末の決算を目前に控え、連日の残業でヘトヘトの毎日を送っていました。 その日、いつものように終電近くの電車で帰ってきた私は、コンビニで買った夕飯をテーブルの上に置いたまま、化粧も落とさずベッドに仰向けで倒れ込みました。 「ちょっとだけ・・・ちょっとだけ休んだら、お風呂に入ろう・・・」 そう思ったのが早いか、私はそのまま、眠り […]

  • 2019年9月4日
  • 2020年12月7日

怖い話

東京都 接客業 小久保綾子(26)(仮名) 私が以前働いていたお店での体験談です。 前のお店を辞め、このお店に入ってから3ヶ月ほど経ち、少しずつ指名ももらえるようになってきた頃でした。 常連さんの中には、時々変わったお客さんがいて、 「ねぇアイちゃん。なんか怖い話、聞かせてくれない?」 というリクエストが上がることがあります。 「アイ」は私のお店での源氏名です。 中にはお客さんと会話をすることを嫌う娘もいますが、私はどちらかと言うと、お客さんとの会話を楽しめる方だったし、時間が延長になる可能性も高くなるので、そんなリクエストがあった時には、いくつかある持 […]

  • 2019年9月1日
  • 2020年12月7日

カッちゃん

埼玉県 大学生 木下翔悟(20)(仮名) 小学校1年生から2年生まで、私には大好きな友達がいました。 名前は確か「カツヤ君」で、私は彼を「カッちゃん」と呼び、学校ではもちろん、放課後も近所の公園で待ち合わせをして、暗くなるまで泥んこになって遊ぶ毎日でした。 ところが、3年生になる前の春休み、私の父の転勤で引っ越すことになり、カッちゃんとはそれ以来、一度も合うことはありませんでした。 それから5年の歳月が流れ、中学2年生の冬休みになった時の事です。 夢の中に突然、カッちゃんが出てきました。 今でもハッキリと覚えているほど、とてもリアルな夢でした。 久しぶり […]

  • 2019年9月1日
  • 2020年12月7日

手話の叫び

千葉県 主婦 山本優香(仮名) 私の娘には、人と少し違う能力があります。 いわゆる「見える」子です。 その事に気づいたのは、娘が幼稚園に通い初めて、まもなくのことでした。 幼稚園では毎日、その日の出来事や必要な伝達事項の確認に、保護者と先生とで連絡帳のやり取りがあります。 ある日の連絡帳に、娘が時々、壁や教室の隅など、誰もいない方に向かって、空想の「お友達」と遊び始めると、お歌の時間や絵本の時間になってもなかなかやめてくれず、少し困ることがある、といった書き込みがありました。 「ああ、きっとこの子も、見えてるんだな・・・」 実は、幼少期の私にも同じような […]

  • 2019年8月28日
  • 2020年12月7日

同窓会の後に

東京都 会社員 石田遼(29)(仮名) 母からの電話で、私が住んでいた村でも少子化が進み、通っていた小学校が廃校になることが決まった、という知らせを聞いたのは、その年の春でした。 戦前から改修を重ね、戦火を逃れ、続いてきた歴史ある小学校です。ましてや母校の廃校となれば、時代の流れとはいえ、何とも切ないものでした。 その年の夏のことです。 私同様「母校廃校」のニュースを聞きつけた同級生たちから、校舎が無くなる前に地元で同窓会をしようという企画が持ち上がりました。 私が在籍していた当時は、1学年全体で13名しかいなかったので、同窓会と言っても、ちょっとした飲 […]

  • 2019年8月25日
  • 2020年12月7日

あおり運転

東京都 会社員 杉山耕一郎(28)(仮名) 大学1年の夏休みの体験談です。 男友達4人で、伊豆にドライブ旅行に行くことになりました。 皆若かったので、夜、海水浴場の駐車場で仮眠を取り、翌日1日海で遊んで帰ってくる予定でした。 私は父の車を借りて、バイト終わりの友人3人をピックアップするため、待ち合わせの場所へ向かいました。 そこにもう彼らが待っていることは、かなり遠くから分かりました。 どう考えても仮眠プラス1日海水浴するだけでは使うはずのない、大きく派手なキャリーバッグを持つ者。 どこで借りてきたのか、やったこともないサーフボードを抱えて立つ者。 極め […]