白いヘルメット①

神奈川県 会社員 松本 健二(21)(仮名)

3年前の夏のことです。

同棲していた彼女は「リナ」と言う名前で、私とは中学校からの同級生でした。

中学卒業後、私は男子校、リナは女子校に進学したのですが、高1の夏頃に偶然再会したことから交際が始まり、高校を卒業して就職したのをきっかけに、県内のアパートで同棲することになりました。

そのアパートは、私の友人のたまり場にもなっていて、特に、バイク好きのカズマとケイタロウは、毎週このアパートを起点にして、一緒にツーリングに出かけるのが習慣でした。

リナは免許を持っていなかったので、いつも白いヘルメットを被って、私のバイクの後ろに乗って、4人で一緒にでかけていました。

その白いヘルメットは、彼女の誕生日に、私が初めてもらったボーナスでプレゼントしたもので、彼女はそれをとても喜んでくれました。

とある土曜日の昼頃、カズマとケイタロウがいつものように私のアパートに集まり、今日の行き先について相談していました。

その結果、その日の行き先は、2時間ほど走った場所にある海まで行こうという事に決まり、4人でアパートを出ました。

バイクを停めてあるアパート脇の駐輪場まで行くと、急にリナが青い顔をして

「ちょっとゴメン。トイレ行って来る」

と言うので、

「じゃあ、メット持って待ってるから、部屋出る時、忘れずに鍵かけてね」

と言いながら、アパートの部屋へ戻って行くリナの後ろ姿を見送りました。

しばらくすると、リナからのLINEに、

「ごめん。やっぱり何か気分悪い。悪いけど、ケンジたちだけで行ってきて・・・」

と言うメッセージが送られて来ました。

私はリナのことが少し心配だったのですが、長い時間カズマとケイタロウを待たせていましたし、私が持っていた彼女のヘルメットを、わざわざアパートまで持って帰るのも面倒だったので、後部座席の横のヘルメットホルダーに付けて、2人にジェスチャーで「行こう」と合図しました。

カズマとケイタロウは「え? リナちゃんは? いいの?」という顔でこちらを見ていましたが、何となく察してくれたようで、2人もそのまま走り出し、私は先を走る彼らの後に付いて行きました。

2時過ぎに目的地の海岸に到着して、遅い昼食をとり、山道を少し走ってから帰ろうということになりました。

いつもは後ろにリナを乗せて、安全運転を心がけていましたが、久しぶりに今日は一人です。

その山道があまりにも気持ち良く、リナの体調が悪いことなどすっかり忘れて走り回っていました。

途中、道の駅で休憩をとった時、すっかり忘れていたリナのことが、急に気になり始めました。

「やべぇ・・・ リナ、大丈夫かな?」

連絡してみましたが、既読になりません。

ますます心配になって、慌てて帰路についた時には、すっかり日も落ち、辺りは暗くなっていました。