お祝い(裏)

*このお話は<お祝い(表)>を先にお読み頂くと、より一層お楽しみ頂けます。

埼玉県 会社員 横澤 翔(36)(仮名)

当時、私は職場の後輩女性Aさんと交際していました。

特に「社内恋愛禁止」ということもなかったのですが、私としてはそれを同僚に知られるのが嫌で、Aさんとも2人のことは社内的には内密に、ということにしていました。

ただ、逆にそれが良くなかったのか、私は別の後輩女性Bさんと浮気をしてしまい、その結果、彼女を妊娠させてしまったのです。

年齢的なこともあり、私はBさんに結婚を迫られていました。

こんな時、同じ会社の同僚と付き合ったり、ましてや浮気までするということは、後々問題が複雑化するのだという現実を、私は見事に突きつけられました。

妊娠させたBさんから結婚を迫られていると言う話を、当然フラレるのを覚悟して、本命のAさんに相談すると、初めは少し悲しそうにうつむいていましたが、すぐに何かを決心したように私に言いました。

「だいじょうぶ。私が何とかしてあげる」

そういって彼女は翌日、会社に辞表を提出し、私の前から姿を消し、連絡も取れなくなってしまいました。

その後、Bさんとの結婚の話は、彼女が妊娠していたこともあり、あっと言う間に進み、観念した私はとうとうBさんと籍を入れ、新居に引っ越すことになりました。
何もかもが急転直下の出来事でした。

それから少し経ったある日のことです。

その後、結婚式や披露宴も挙げていなかった私達のために、職場の同僚が私の家で、結婚を祝うためのホームパーティーを企画してくれました。

そんな矢先の出来事です。

3ヶ月ぶりでしょうか、本命だったAさんから、突然連絡がありました。

私は気まずさもあり、入籍してからあえて彼女に連絡をしなかったのですが、

「私の家で待ってるから」

とだけ入れられたメッセージをたよりに、持っていた合鍵を使って、彼女のアパートへ向かい、部屋の中で彼女の帰りを待っていました。

30分ほど待っていると、長かった髪をバッサリ切り、まるで少年のようになった彼女が帰ってきました。

「ど・・・どうしたのよ。その髪」

私が驚いて聞いてみると、

「今日切ったの。儀式のためにね。ほら、これ」

と言って、彼女は、どこで手に入れたのか、御札のような紙を5枚、テーブルの上に並べました。

そこには「呪」という文字の下に何かの呪文のようなものが描かれていました。

「すっごい強い霊能者の先生に書いてもらったの。美容院よりずっと高かったんだから」

そう言って次にかばんの中から取り出した袋には、彼女の茶色く長い髪が、束になって入っていました。

「あとね、コレも買ってきたのよ」

そう言ってビニール袋から取り出したのは、黒っぽいペンチでした。

「これでね、爪を剥いで、その爪にこの髪を束ねてヒモで縛って、そこに針を刺して、この御札と一緒に小袋に入れて、翔くんの家の色んな所に隠すの」

あまりに現実離れした残酷な話を、喜々として説明する彼女を見て、私は背筋が寒くなりました。

「ちょっちょっちょっ・・・ 待ってよ。それ、何よ! どういう事?」