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憑いて来ちゃった

憑いて来ちゃった

東京都に住む女子高生、Mさんが中学生の時に経験した、恐ろしい心霊体験談です。

当時、私は父と母、6つ離れた弟と4人で、都内のマンションに住んでいました。

私が中学2年生になった頃、家が手狭になったということで、そのマンションから歩いて10分ほどの所に、新築で一軒家を建てて、そこに引っ越すことになりました。

それまで、私は弟と一緒の部屋だったので、引っ越したら自分専用の部屋ができることが何よりも嬉しく、引っ越しの日を指折り数えていました。

ある日、父と母が神妙な顔をして、リビングで何かをボソボソと話し合っていました。

私が「なぁに? 2人とも暗い顔して。どうしたの?」と尋ねると、新築工事がトラブルで工期が延び、予定していた日に引っ越しができなくなった、ということでした。

楽しみにしていた引っ越しが延期になるのは残念でしたが、仕方がありません。

何より両親が心配していたのは、今住んでいるマンションは既に売却済みで、明け渡しの期限が決まっているのに、新居に入居できないということでした。

結局、マンションの明け渡し期限から、新居に入居できるようになるまでの約1ヶ月ちょっとの間、近くの賃貸物件に、一旦仮住まいすることになってしまいました。

仮住まいする家は、ちょうどマンションと新居の間くらいに位置する、大きくて古い一軒家でした。

ところが、私にとってこの家は大問題でした。

見るからに、今にもオバケが出てきそうなオンボロで、初めて門扉の所に立った瞬間、ゾゾッと鳥肌が立つような雰囲気だったのです。

マンション住まいしか知らない弟は、初めての一戸建てを珍しがり、小さな庭が付いていることをとても喜んでいましたが、私はまるでオバケ屋敷のようなその家の雰囲気を、全く受け入れることができませんでした。

「ねぇ、お母さん。ホントにここに住むの?」

「そうよ。 ちょっとボロだけど、あなた達の学校のことだってあるし。 まぁ、1ヶ月ちょっとの辛抱だから、我慢してちょうだい」

母にそう諭され、私は泣く泣く、そこに住む覚悟を決めました。

自分専用の部屋を心待ちにしていた私ですが、この家でそれは、絶対に持ちたくありません。

それなのに、部屋数があるからと言う理由で、半ば強制的に私専用の部屋をあてがわれ、このオバケ屋敷で産まれて初めて、一人ぼっちで寝ることになりました。

初日、2日目、3日目と、何事もなくグッスリ眠ることができ、「意外と私、強いかも」と思いましたが、大変だったのはその後でした。

仮住まいとは言え、オバケ屋敷に住んでいることを、絶対に友達に知られたくなかったので、私は毎日、どんなに遅くなっても、遠回りして帰るのが日課になりました。

ところが私の弟はバカなので、毎日のように「新居」に友達を呼び、「探検」と称して庭石をひっくり返して虫を探したり、軒下に潜り込んだりして、それはもう大騒ぎです。

挙句の果てには「ボク、ずーっとこの家に住みたい!」と言い始める始末です。

私は弟のバカさ加減に、呆れながらも、少し羨ましくも感じていました。

それから月日が流れ「このオバケ屋敷とも、あと1週間でお別れ」となった、その日のことでした。

私が学校から帰ってくると、いつものようにハイテンションの弟が、何やら嬉しそうに「宝物を見つけた!」とはしゃいでいました。

母に事情を聞くと、弟が玄関脇の靴箱の下にボールを入れてしまい、ライトで照らして探して見たところ、ピラミッドのように積まれたコインの山を見つけたのだそうです。

弟がそれをホウキで掻き出してみると、昭和40年頃の100円硬貨が30枚ほど出てきて、それを「宝物だ」と言って喜んでいるらしいのです。

ネットで調べてみると、その硬貨は1枚あたり150円ほどの価値があるようで、それを聞いた弟は更に歓喜し、自称「宝箱」と呼んでいる汚い箱に、大事そうにしまい込んでいました。

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