2日目の朝になりました。
昨晩の出来事も忘れ、1日中、教習です。
実車教習は楽しいのですが、学科はどうも、特に午後は睡魔との戦いでした。
夜になり、スマホで友人とやり取りなどしていると、いつの間にかまた電気を点けっ放しで眠ってしまいました。
そもそも、部屋の明かりを点けたまま眠るのは、ここへ来てからという訳ではなく、以前からの私の習慣というか、癖のようなものだったのです。
不思議だったのは、その後のことです。
昨日見たのと全く同じ夢を見た私は、目が覚めるとやはり昨晩と同じように、右手に紙切れを掴んでいたのです。
「うわっ! まただ! キモッ!!」
教習の疲れも手伝って、その紙切れが何なのかを確認することもなく、その日もまた手の中でクシャッと丸め、ゴミ箱に向かって放り投げました。
3日目の朝、朝食の終了時間の10分前に目を覚ました私は、慌てて食堂へ向かい、朝食を押し込んですぐに教習の準備を始めました。
そしてその夜、また同じ夢を見て、ゴミ箱に紙切れを丸めて捨てました。
4日目の教習が終わった夜のことです。
さすがに私も、毎晩丸めて捨てている紙切れが何なのか、気になり始めました。
ところが、ゴミ箱の中を見ても、空っぽで何も入っていません。
どうやら毎日、部屋には清掃スタッフが入るらしく、ゴミ箱の中のものは全て回収されてしまうのです。
諦めて眠りにつくと、案の定、またあの夢と、右手には紙切れ・・・
やっぱり来たかと思い、その紙をよくよく見てみると、何が書いてあるかまでは分かりませんでしたが、どうやらかなり古い御札のようなものでした。
「何か・・・ 気持ち悪いな・・・」
疲れと眠気で冷静な判断ができない状態の私は、やはりその紙切れを、丸めてゴミ箱に向かって投げ捨てました。
5日目の夜のことです。
改めて冷静になって考えれば、連日連夜、同じ夢を見たあとに、御札らしき紙切れを持って目が覚めるというのは、ちょっとただ事ではないような気がしてきました。
そこで、これはクローゼットの中に何か秘密があるのではないかと思い、突っ込んであった荷物をベッドの上に移動させて、棚の上や床から壁、隅々まで確認しましたが、特に変わった様子はありません。
それでもどこかに御札を剥がしたような跡があるのでは、と思い、ベッドの下や机の裏まで丁寧に確認しましたが、それらしき痕跡は一切見つかりませんでした。
ただ、気味が悪かったのは、5日目の夜も、6日目の夜も、同じ夢を見て、同じ紙切れを右手に握りしめたまま目が覚めたことでした。