YEAR

2016年

乗れないエレベーター

東京都 会社員 中田正樹(31)(仮名) 「はぁ・・・またかよ・・・」 私が住むマンションのエレベーターは、雨の日に限って調子が悪いのです。 築30年のこのマンションに越してきたのは、去年の春のことでした。 以前は会社まで片道1時間近くかけて通勤していたのですが、毎朝のラッシュと往復の2時間が無駄に思え、会社近くの都心に住むことに決めたのです。 予算的には新築・駅近という訳にはいきませんでしたが、このマンションは地下に駐車場もあり、間取りや収納など、古いながらも理想的な条件が揃っていました。 さらに、このマンションの裏手にはお寺があり、建物の壁を隔てた向 […]

大切な人形

東京都 大学生 森下浩美(21)(仮名) 私が小学校2年生の時、祖母が病気で亡くなりました。 祖母は初孫だった私をとても可愛がり、大切にしてくれました。私はそんな祖母が大好きでした。 私が生まれてすぐ、祖母は大きな人形を買ってくれました。 フランス人形のようなドレスを着た女の子の人形は、物心ついた時から私の大のお気に入りで、親友のような存在でした。 祖母が亡くなる前日、私はいつものように、大切な人形を持って入院中の祖母のお見舞いに行きました。 祖母は病院のベッドの上で私を抱き寄せ、私が抱いていた人形の頭を優しく撫でながら、 「おばあちゃんは、いつでも浩美 […]

公園の女の子

埼玉県 保育士 荒井美佳(26)(仮名) 当時、私は保育士になるため、大学に通っていました。 大学は駅から徒歩10分ほどで、途中にある小さな公園を斜めに抜ければ、少しだけ近道ができます。 ただ、建物と植栽に挟まれたその公園は昼間でも薄暗く、とても陰気で、以前、焼身自殺があったとか、夜は痴漢が出るといった噂もありました。 その上、園内の遊具も、駅側の入り口を入って右奥の死角に、赤いブランコがポツンと2つあるだけで、子供が遊んでいる姿など、ほとんど見たことがありませんでした。 だから私も、その公園を抜けるのは、どうしても講義に遅刻しそうな昼間だけ。そう決めて […]

何でもご相談ください

栃木県 会社経営 清川浩二(38)(仮名) 自分で言うのも何ですが、私は子供の頃から手先が器用で、要領も良く、何でも上手くこなすタイプでした。また、これも昔からですが、頼まれたら絶対に嫌とは言えない性格でしたので、損な役回りを演じたことも沢山ありました。 以前勤めていた会社にとって、そんな私は使いやすい、便利な従業員だったのでしょう。要領の悪い同僚の分まで仕事を押し付けられ、サービス残業が続き、心身ともに疲労困ぱいの毎日で、私はいわゆる器用貧乏の見本のような存在でした。 30歳を過ぎた頃、そんな会社(というより自分)に嫌気がさし、その会社を辞めてしまいま […]

睨み続ける女

東京都 会社員 佐々木雄大(26)(仮名) 私が大学生だった時の話です。 北海道の田舎から、憧れの東京の大学になんとか合格し、都会的で洗練された綺麗系の彼女を作って楽しい大学性生活、いや、大学生生活を夢見ていた私ですが、寂しい春と、虚しい夏と、悲しい秋が過ぎ去って行きました。 ところが、大学1年の冬のことでした。 インストラクターのアルバイトとして住み込みで行ったスキー場で、いざゲレンデに立つと、まるで別人のようにモテまくり、まさに性春、いや、青春を謳歌できることに気付いてしまったのです。 それから毎年、スキーやスノーボードのインストラクターとして、長野 […]

歩いてきた少女

※この怪談には一部刺激的な表現が使用されています。閲覧の際はご注意ください。 長野県 警備会社経営 八田剛志(47)(仮名) それはまだ、私が刑事部捜査一課に在籍していた頃の話です。 捜査一課とは殺人、強盗、暴行、傷害、誘拐、性犯罪などの凶悪犯罪の捜査を扱う部署で、日々の捜査は熾烈(しれつ)を極めました。 その捜査一課に在籍していた18年間の中で、私にとって最も不可思議だったこの事件は、20年以上経った今でも、時折夢に見るほど、鮮烈に印象に残る事件でした。 事の始まりは、放置された1台の車からでした。 梅雨明けして間もない、猛烈に暑い夏のある日、山沿いの […]

死番

静岡県 会社員 菊池美和(21)(仮名) 私が小6の夏休みに、両親と小3の弟との家族4人で、県内のとある海水浴場に泊まりがけで行った時の話です。 この海水浴場は地元の人にしか知られていない穴場的な場所で、海水浴シーズンでも人が少なく、私たち家族は毎年通っていました。 その年、夏休みの宿題もほとんど終わらせ、開放感でかなりハイテンションだった私は、泳ぎの苦手な弟を半ば強引に浮き輪に掴まらせて、少し沖の方まで引っ張って泳いで行きました。 弟は終始怖がり、浜に帰りたがっていましたが、私はゴーグルをつけて海中の魚を観察するのに夢中でした。 泳ぎ始めて10分ほど経 […]

重い車

千葉県 主婦 鈴木康子(44)(仮名) 私が高校生だった時、母と2人暮らしの母子家庭でした。 私と母は、まるで姉妹か友達のような関係で、何でも相談できる、仲の良い親子だったので、2人だけの暮らしにも、寂しさは全く感じませんでした。 その頃付き合っていた彼との仲も母親公認で、母も私を真似て、彼のことを「佑ちゃん」と呼び、とても大切にしてくれました。 3つ年上の彼の車は、当時流行りの改造車で、内装は真っ赤なモフモフで車内は土禁。いわゆるシャコタン(車高を極端に低くする改造)で、いかにも・・・な感じのド派手な車でした。 ただ、乗っている車やイカツイ見た目とは違 […]