埼玉県 神田朱美さん(20代・アルバイト)の恐怖体験談
私が働いているスーパーには、40代で独身の、少しクセの強い店長がいました。
パートさんたちからは、なんとなく気持ち悪がられている人でした。それだけならまだしも、気に入った女性にはストーカーまがいのことをする噂もあって、正直、みんなから避けられている存在だったんです。
ある日の昼休みのことでした。
「Kさん、これ飲んでよ」
そう言って、店長がペットボトルのお茶を差し入れしてくれたんです。
なんとなく、飲む気になれませんでした。
かといって、その場に置いて帰るのも角が立ちます。仕方なく、そのまま持って帰ることにしました。
帰宅後、すぐに処分しようとペットボトルの蓋に手をかけました。
――カチッという音がしません。
あれ、と思いながらラベルを剥がし、中身をよく見てみました。
白くて細かい、何かの粒のようなものが浮いています。
お茶の成分か何かかもしれない。そう思おうとしましたが、やっぱり気持ちが悪くて、私はその中身を、キッチンの排水溝にそのまま流して捨てました。
その日の真夜中でした。
気味の悪い音で、目が覚めました。
どこから聞こえてくるんだろう。耳を澄ませながら音の出どころを探ると、それはキッチンの排水溝の中からでした。
おそるおそる耳を近づけてみます。
――おーい。
――うおーっ。
男の声でした。呼んでいるような、呻いているような、とても気味の悪い声です。
考えすぎかもしれません。でも、その声は、どこか店長の声に似ているような気がしました。
私はすぐに、排水溝用の強力なクリーナーを一本、丸ごと流し込みました。
断末魔の悲鳴のような声を最後に、その気味の悪い声は、聞こえなくなりました。
翌日、私は仕事を辞めました。


